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改造人間リアルアイドル 〜第一章〜

第三話 Mちゃんの微笑み事件〔2〕

 それからの新木真子は、田辺功生に対して完全無視を決め込んでいた。どうリアクションして良いのか分からないのかもしれない。また、あの公開告白が行なわれた背景には、どうやら男子三人組の秋山・車田・篠崎の陰謀が潜んでいるようにも感じられて、そういうことも気に入らなかったんじゃないかと思う。とにかく、新木真子はひたすら平静を装っていた...というか、もしかしたら本当にぜんぜん気にしていないのかもしれない。だとすれば、そうとう肝〔きも〕が据わった女子だ。

(肝が据わったガサツ女か...彼女の評判はますます落ちてしまうだろうな。)

 一方、田辺功生はあれ以来、休み時間になると必ず、男子三人組の秋山・車田・篠崎やイケてる風オシャレ女子たちから"新木真子ネタ"で激しくからかわれていた。もはや開き直ってしまった田辺功生は、ときおり困り顔を見せながらも「うん、新木真子が好きだよ」とか「ああ、つき合って欲しいと思っているし」と調子を合わせながら、否定したり言い訳している様子はなかった。むしろ、周りからいじられればいじられるほど、新木真子への想いは彼の中で強く固まっていくようにも見えた。

 それにしても、何て言ったら良いのか...田辺功生と新木真子、この二人の温度差はいったい何なんだろうか。かたや開き直って全肯定。かたや完全無視...あれ以来、二人はお互いにひと言もしゃべろうとしない。

 このままでは、あの公開告白は大失敗に終わるだろう...そう思うと、少しだけホッとしたような気持ちにもなる。だけど同時に、何やらモヤモヤする感覚がぼくの中で大きく膨らんでいくのも感じていた。

 クラス内での新木真子の評判は急降下している。それにともなって、ぼくの中で起こっていた変化は彼女への気持ちまで醒めてしまったことだった。きっと、これがモヤモヤ感の正体だろう。

(だけど、そんなんで良いのだろうか...ぼくには"自分の意思"というものはないのだろうか...)

 ガサツのウワサが広まったときは、まだ他の魅力の方が上回っていた。だけど、公開告白をへて彼女の肝が据わったところを見て、もはや抵抗し切れないほどのモヤモヤ感が生まれてしまった。ぼくは、周囲の評判に抗うことができなくなってしまったんだ。

 そんなぼくと比べて田辺功生はどうだ。あのときはまだガサツのウワサだけだったとはいえ、また、男子三人組に無理やり背中を押されていた可能性があるとはいえ、最終的には自分の意思で公開告白を敢行したのだ。その後は、新木真子にどれだけ無視されようと、彼女の肝が据わった様子をどれだけ目の当たりにしようと、彼女への気持ちが変わらないことを表明し続けている。

(田辺功生と比べたら、ぼくはなんて情けない軽薄な男なんだ...)

 それだけじゃない。
 ぼくが、自分をとても情けなく感じてしまった理由はもう一つあった。本心を言えば、ぼくも新木真子に告白したいと思っていた...というよりも、これから少しずつ仲良くなって、願わくば、いつかつき合いたいなんて思っていたんだ。だけど、田辺功生のようにイチかバチかの告白をする勇気が持てなかった。告白してフラれるのが恐かった。だから、少しずつ仲良くなってからにしようなんて考えていたんだ。少しずつ仲良くなって、今だったら告白しても絶対にフラれないと確信できるようになってからにしたい...なんて考えていた。そんなノンビリかまえていたら、誰かに先を越されてしまうのも当然のことだというのに...。

 自分の意思がなく、悪いウワサや評判に流されて、好きだった気持ちまで醒めてしまうようなだらしない自分...告白してフラれてるのが恐くて、チンタラしてしまい、他の誰かに先を越されてしまった情けない自分...。

(ぼくにはもう、誰かに告白する権利などない。)

 ぼくだって、何をすれば良いのか頭では分かっていたはずだ。だけど、勇気がなくて動けなかった。そもそも(少しずつ仲良くなってフラれないと確信してから...)なんてことは、今の自分にできるわけなかった。だから田辺功生のように、フラれる恐怖心を抑えつつ、勇気を出してイチかバチかの告白をするしかなかったんだよ。ちょっと前までのぼくが、新木真子への想いを遂げるためには、それしか方法がなかったんだ。そんなことは、最初から頭では分かっていたんだよ。

(行動力がないだけで、繊細。心では感じている。何をすれば良いのか、頭では分かっている...)

 ただし、仮に田辺功生よりも先にぼくが告白していたとしても、ほぼ間違いなくフラれてしまっていただろう。このころのぼくには、そんな絶望的な未来しか想像できなかった。だから、今のぼくに必要なのは、自分自身の魅力をもっと高めることだ。だけど、具体的にどうすれば魅力を高めることができるのか、ぜんぜん分からないんだ。

 それより何より、ぼくはこれまでの人生で誰かのために何の役にも立っていない。自分がこの世に生きている意味すら分からないままだ。それもそのはず、自分のためでさえ何の勇気も出せないぼくが、誰かのために何か役に立てるなんて、そんなことはあり得ないことなんだよ...。

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